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プラハのボヘミアン スピリット チェコ共和国 – 1

プラハの風景

まるで中世ヨーロッパへのタイムスリップ。目の前に広がる街並みに、それ以外の言葉が思い浮かびません。赤い屋根、空に向かって伸びる塔、そして濃いグレーの石畳。何年も大切に磨き抜かれた輝き。乱雑に扱われ、損なわれたものがひとつもなく、すべてが時を超えたようにまったく古さを感じさせません。

まずは景色を心ゆくまで楽しんでください。その後、今度は目を人々へと向けてみます。心と体のすべてを使って、ボヘミアの都市プラハを感じます。自由気ままなファッションを身にまとった人々は観光客とはまったく違う雰囲気をまとい、街のあちこちでは芸術のパフォーマンスが繰り広げられます。屋台の店主たちからは、威勢のよい呼び込みの声が聞こえます。

“ボヘミアン” という言葉の起源はチェコ共和国だということ。これが、プラハに旅行しようと決めたそもそもの理由でした。今や “ボヘミアン” とはスタイルを含む一種のコンセプト。自由な生き方を好む芸術家や社会の障壁に束縛されないジプシーを指すだけの言葉ではなくなっています。ファッション デザイナーを志す者にとって、プラハは自由、放浪、若さ、アートの価値が溶け合う、人々のインスピレーションをかきたてる都市です。プラハの本当の姿は、プラハ中央駅正面のヴァーツラフ広場を見ればわかります。カレル橋を渡って旧市街、新市街、小地区 (マラー ストラナ)、プラハ城。いずれもとても魅力的で、プラハの新たな顔を探るには楽しい場所です。真のボヘミアン スピリットを感じるジョン レノンの壁は、特に忘れられない場所です。壁の前に立っているのは、追悼と平和のために歌う人々。当時の記憶を分かち合いながらミュージシャンが弾くギターの美しい音色。”自由” とは何か。プラハの歴史に思いをはせながら、この場で深く考えさせられました。

 

ルート

ヴァーツラフ広場 – 徒歩 7 分 – ハヴェル市場 – 徒歩 3 分 – プラハ旧市街市庁舎 – 徒歩 15 分 – ジョン レノンの壁 – 徒歩 20 分 – プラハ城 – 徒歩 20 分 – ペトシーン公園展望台 – 徒歩 4 分 – 黄金の小道 – 徒歩 17 分 – カレル橋

 

ヴァーツラフ広場

 ヴァーツラフ広場

ヴァーツラフ広場は、プラハの中央駅で電車を降りて最初に出る場所。どこまでも続く巨大な街角といった趣のこの広場は、プラハのメイン ストリートであり、強く自由を求め続けたチェコの現代史を肌で感じられる場所です。

ヴァーツラフ広場は、ヤン パラフとヤン ザイーツという 2 人の学生が 1968 年に始まった自由化運動「プラハの春」で、旧ソビエト連邦の軍事介入への抗議として焼身自殺を図った場所。また、1989 年の「ビロード革命」で共産政権を倒した市民が自由を祝った場所でもあります。この自由を追求する精神は今日も受け継がれ、ヴァーツラフ広場は、規模の大小を問わずプラハの民主的抗議運動の舞台となっています。人々の喜びも悲しみもすべてを目撃し、チェコ共和国の自由への闘争とその勝利にまつわるすべての重要な瞬間に立ち会ってきた場所なのです。

ヴァーツラフ広場はこのようにプラハの自由の象徴。一方、同時に市内の主要なアクティビティーの拠点として重要な役割を果たしている側面も見逃せません。広場に隣接する通りを新市街まで歩いて行くと、デパートだけでなく大小さまざまなブティック、土産物店、両替商など多種多様な店が並んでいます。物価がヨーロッパの他の地域より安いので、思いきりショッピングを満喫することができます。ショッピング モールのヨーロッパ スタイルのなかでも、ボヘミアンの自由とスピリットを感じさせ、異彩を放つ洋服がたくさん並んでいます。いくつかの店をのぞいた後、他では見つかりそうもないユニークな柄のドレスを選んで袖を通すと、すっかり気分はボヘミアンです。

ボヘミアの旅のヒント : チェコでもユーロが流通していますが、現地通貨のクローナのほうが物価が安く、より一般的に使用されています。チェコではクローナに両替する方がお得です。チェコ国内ではユーロは買うより売る方が利益が出るためです。外貨両替所は、新市街より旧市街を利用したほうが安上がりです。法外な手数料を要求する詐欺まがいの両替商にはくれぐれもご注意を。

 

ハヴェル市場

ハヴェル市場の土産物

トゥルデルニーク

ハヴェル市場

ヴァーツラフ広場から旧市街への向かう途中の街角にあるハヴェル市場は、地元の人々に愛される活気に満ちたにぎやかな場所。週末には果物と野菜を扱う市場が立ち、新鮮なものを安く買えるとあって地元の買い物客で常にあふれています。人波にまぎれ、地元の買い物客のふりをして市場をのぞいてみれば、プラハの活気ある自由な雰囲気を実体験することができます。プラハの人々の生活そのものがそこにはあるのです。マーケットでぜひ食べてみたいのがトゥルデルニークというチェコの伝統的なパン菓子。”煙突パン” とも呼ばれ、シナモンやチョコレートなどのフレーバーがあります。焼きたてほかほかのこのパン。一度食べると生涯忘れられない味になるでしょう。週末のハヴェル市場が平日と違うのは、プラハを訪れる観光客向けに手頃な価格の多彩な土産物を売るマーケットに変身するところ。チェコ独特のボヘミア文化を象徴する二大名物、ヴィンテージの操り人形とボヘミア ガラスをプラハのお土産に購入できる絶好のチャンスです。ただし、土産物を買うときは価格が決まっているので、ディスカウントの交渉は慎重に。

 

プラハ旧市街市庁舎

プラハ天文時計

旧市街のカフェ

プラハ旧市街市庁舎

ハヴェル市場にほど近い地区は昔ながらのプラハの面影が保存されている旧市街。ボヘミアの宗教革命を率いたヤン フスの銅像が建っている周辺には、教会や旧市庁舎などのプラハの印象的な由緒ある建物が並びます。広場近くの建物には、ゴシック、ルネサンス、バロックなど異なる幅広い古典建築様式があり、夜になるとすべてがライトアップされ、美しい夜景を生み出しています。旧市街市庁舎はゴシックとルネサンスの建築様式を併せ持ち、1338 年に建設されました。この建物の壁にあるプラハ天文時計には、多くの観光客が訪れます。毎時きっかり 5 分前に時計の鐘が鳴り、天文時計を飾るからくり人形が動き出します。今も動いている世界最古の天文時計といわれ、製作はなんと 15 世紀というのですから驚くほかありません。死神の人形が紐を引くと窓が開き、十二使徒の人形がくるくると回りながら登場。最後におんどりが甲高い声で時を知らせ、鐘が鳴って正時を告げます。上下に 2 つの時計がありますが、上の時計は天体の動きを表す天文図の文字盤 (プラネタリウム)、下の時計は当時のボヘミアの農耕生活を表す古いチェコの暦表 (カレンダリウム) になっています。旧市街市庁舎の塔の最上部には展望台があり、旧市街の美しい街並みを一望できます。

地上に戻ると、旧市街の市庁舎周辺エリアにはテラスのあるカフェやパブがたくさんあります。どの店を選んでも安くておいしい食事とチェコ人自慢のビールが楽しめます。テラスに座っておとぎ話の世界のようなプラハの景色を楽しみながら、ロマンティックな雰囲気に酔いしれましょう。

 

ボヘミアの旅のヒント : プラハのビール

チェコはドイツやイギリスに負けないビール作りが自慢の国。何より、水よりビールの方が安いのです !というわけで、プラハの旅でぜひ飲んでいただきたい三大ビールをご紹介します。ビールのおともにぴったりのおつまみもどうぞ。

 

ピルスナー ウルケル

  1. ラガー ビールのパイオニア – ピルスナー ウルケル、チェコ

世界のビールの 90% を占めるラガー ビールは、チェコのピルゼンが発祥の地。クリアでクールな味わいの最高級ビールであるピルスナー ウルケルは、原料のモルト、水、ホップに最高級のものだけを使って作られたチェコのプライドをかけたビールです。名前に “ピルスナー” の付くビールは数多くありますが、元祖を意味する “ウルケル” の名が付いているのはこのビールだけ。プラハ滞在中にぜひ一度は飲みたいビールです。

 

コゼルダーク

2.ソフト スタウト、コゼル ダーク

コゼル ダークは苦味とかすかに甘い香りのあるダーク ビールです。そのため好き嫌いがはっきり別れる傾向もあります。チェコのコゼル ダークを試してみれば、そのようなダーク ビールに関する既成概念は覆されます。コゼル ダークはソフトな甘いスタウトで、チョコレート、カラメル、コーヒーの香りがします。アルコール度数が 3.8% と比較的低いのも特徴。そのため、女性でも気軽に飲めるのがコゼル ダークです。ボヘミアのダーク モルトを使っているのがこのビールの秘密です。

 

ヴェルベットビール

3.海外でも大人気のビール – ヴェルベット ビール

プラハのビールについてインターネットで検索すると、上記の 2 種と同じくらい頻繁に検索されている銘柄があります。それが究極のまろやかさが自慢の “ヴェルベット ビール” です。特にこのビールが有名になったのは、プラハのあるレストラン (ウ マレーホ グレナ) が販売を開始してからのことです。キメの細かい泡立ちが豊かでのどごしが良いため、どんな料理にも合います。

 

コレノ

チェコ風豚足料理 – コレノ

正確には、豚の膝肉の料理で、ビールに漬けた肉を香ばしく焼いたものです。味は豚足料理に似ていますが、皮がもっとパリっとしています。

 

グラーシュ

東欧料理の代表的メニュー – グラーシュ

濃厚なビーフ シチューといえば、味は想像できるでしょうか。この料理はチェコのみならずハンガリーなど周辺の国々でも愛されています。あつあつのスープをパンとともにいただきます。味はショート リブによく似ています。

 

ジョンレノンの壁

ジョンレノンの壁

ジョンレノンの壁

ジョン レノンの壁

旧市街からカレル橋を渡ると見えてくるのが小地区 (マラー ストラナ) です。カレル橋はプラハの旅の締めくくりにとっておいて、橋の左側に進みましょう。ここにカンパ島という小さな村があり、ここにジョン レノンの壁があります。まさに現代のボヘミアン スピリットの聖地。この壁に落書きが始まったのは 1980 年。元ビートルズのジョン レノンが平和を歌った時代です。この “平和の壁” は今では世界平和と幸福への願いの象徴となっています。この壁には、ビートルズの曲の歌詞、政府への批判、ピース マーク、そしてさまざまな絵が描かれ、今も若者やアーティストたちの手によって日々描きかえられています。華々しい場所ではありませんが、多数のアーティストの作品が自由、平和、ボヘミアン スピリットを語り続けています。ジョン レノンの壁を見ることがあれば、何か絵や言葉を残してみましょう。アートに加わる新しいピースが、ボヘミア都市プラハをさらに輝かせるのです。ジョン レノンの壁の近くには、ジョンをテーマにしたパブがあります。また、錠前のカギを取り付けて思い出を残せる橋もあるので、もう少しここに留まってジョンを偲んでみませんか。