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黄金のマジックの聖地ミュンヘン ドイツビールを味わいつくす旅 -1

オクトーバーフェスト

オクトーバーフェスト

黄金のマジックの聖地ミュンヘン

ドイツを一言で表すなら、「世界最高の自動車の生産拠点」あるいは「大勢のファンが試合に熱狂するサッカーの国」。最先端の科学技術や、戦争と国の分断といった近代の複雑な歴史を挙げる人もいるでしょう。他国をリードする統一された先進国というイメージを持つ人もいます。

でも、これだけははずせないドイツのトレードマークと言えば、冷たくて爽快な黄金色に輝くビール。ドイツを訪れる誰もがサッカーの試合を観戦したり、ドイツ車でドライブしたりするわけではありませんが、ビールは別格。ドイツの旅はビールなしには語れません。ビールは単なる飲み物というだけでなく、ドイツの文化の礎として国や人々を物語る象徴的な存在です。ビールを味わえば、この国のさまざまな姿が見えてくるに違いありません。

せっかくならドイツで最高と言われるビールを試したいと考えるのは当然のことですが、誰もが認めるナンバーワンをドイツで見つけるのは難しいかもしれません。どこで飲んでも、その格別な味わいや品質に驚かされるはず。どれかひとつを選ぶことなどできません。それでも 1 番のビールを見つけたいなら、街中にヒントがあるミュンヘンを訪ねてみましょう。

 

ドイツビール

ドイツビール

最も純粋なビール

サッカーチーム “バイエルン ミュンヘン” で有名なミュンヘンはバイエルン州の州都。神聖ローマ帝国が統治していた頃、バイエルンは公国 (大公が収めていた国) のひとつとして存在し、その後帝国の崩壊とともにバイエルン王国が誕生しました。今日ではバイエルンはドイツ連邦共和国を形成する州となり、王国時代の首都ミュンヘンは、バイエルン州の主要都市です。

ドイツビール

ドイツビール

ドイツビールに関して言えば、バイエルンがその先導者であると言っても過言ではありません。その根拠はバイエルンで 1516 年に施行されたビール純粋令 (Reinheitsgebot)。現在もドイツビールの絶対的基準となっています。ビールの醸造には水、大麦、ホップ、酵母だけを使い、添加物も不純物も加えてはならないことを明言したこの法令は、神聖ローマ帝国の崩壊とドイツ帝国の建国を経てドイツ全域で施行され、国内の全醸造所が守るべき基準となりました。

こうして添加物の使用が禁止され、原材料の品質も厳しく規制されたことが研究開発につながり、改良を重ねて質の高いビールが生まれ、伝統のレシピが作り上げられました。現在ドイツにある 1,300 あまりの醸造所は、何百年にもわたり昔ながらの醸造法を守り続けています。ビール純粋令は国の法律ではなくなりましたが、バイエルンでの制定から 500 年経った今でも、ドイツではこの方法に従って純粋なビールが醸造されています。こうして私たちは今もなお最高に純粋なドイツビールを楽しむことができるのです。

美味しいドイツビール

ドイツビール

ビール純粋令が定めていたのは原材料の品質だけではありません。規制は価格設定にも及び、業者がむやみに高い価格をつけることは禁止されていました。このおかげで、ビールは貴族から庶民まで誰もが楽しめる飲み物となり、現在も適正価格で自由に飲めるようになっています。

 

ビールを楽しんでいるドイツ人

皆で “Prost (乾杯)” !

ビアホールはビールを飲むための場所。皆がビールを飲みながら、会話を楽しみます。ビアホールは単なる飲み屋ではありません。仕事を終えた地元の人たちが語らい、意見を交わす憩いの場でもあります。ドイツのほかの地域と同じように、ミュンヘンでも有名な醸造所がビアホールを開き、自社のビールを販売しています。グラスに満たされた注ぎたてのビールを飲み干したら、ビアホールの夜が始まります。

サッカーの試合がある日は、中継に熱狂するファンでいっぱいに。乾杯はドイツ語で “プロースト” と言います。ビアホールを訪れたら、地元の人たちと一緒にグラスをあげて “プロースト”! まずは楽しみましょう。

 

ミュンヘンの伝統的なビアホール探訪

ホフブロイハウス → アウグスティナー ビアホール → アイインガー ヴィルツハウス → レーベンブロイ ケラー

ビアホールの内部

ビアホール

ビアホール

ドイツには「ビールは醸造所の影が届く範囲で飲むべし」という有名な言い伝えがあります。つまり、ビールは樽から注いだ瞬間が最も美味しいということ。このためドイツの人たちは地元で醸造されたビールを飲むことを好みます。ドイツでは故郷を離れて年をとると、若い頃飲んでいたビールが恋しくなる (ドイツではビールが 14 歳から飲める) と言われるほど、この国にとってビアホールは特別な存在です。ビールで有名なミュンヘンももちろん同じ。ミュンヘンのビアホールにはこの街ならではの特色が見られます。

ここでは選りすぐりのビアホールを 4 軒ご紹介します。ミュンヘンのビアホールはいずれも歴史ある名店ぞろい。それぞれ特徴があり、どの店で尋ねても「地元ではうちが 1 番」と答えるに違いありません。

 

ホフブロイハウス

ホフブロイハウス

ホフブロイハウス

ホフブロイハウス

ホフブロイハウス

ホフブロイハウス

ホフブロイハウスのビール

ホフブロイハウスのビール

“世界で最も有名な居酒屋” ホフブロイハウス

ホフブロイハウスは世界で最も有名な居酒屋とも言われます。王立醸造所を意味するホフブロイハウスは、1589 年にバイエルン公国王室のために設立され、1830 年に一般向けのビアホールとなりました。広々とした店内はいつも人でいっぱい。長テーブルに置かれた椅子は早い者勝ちです。ホフブロイハウスのビールは濃くて苦みのある味わいが特徴。濃い味が好きなビール愛飲家に支持されています。毎晩行われる生バンドの演奏がビアホールの雰囲気をさらに盛り上げます。興奮した客が廊下で踊り出す姿も、ホフブロイハウスでは日常の 1 コマです。(住所: プラッツル 9, ミュンヘン, ドイツ)

 

ドイツビール

ドイツビール

“秘宝の発見者になろう” アイインガー ヴィルツハウス

アイインガーはミュンヘンで最も有名というわけではありませんが、このビアホールのビールにはお宝を見つけたような魅力があります。アイインガーはミュンヘン近郊のアイイングと呼ばれる農村で作られるようになったビール。アウグスティナーブロイハウスと同様、特に優れた品質と味が自慢のヴァイスビア (小麦のビール) です。アイインガー ヴィルツハウスはホフブロイハウスの向かい側にあるので、飲み比べてビアホールの雰囲気の違いを楽しむにはぴったり。有名なホフブロイを訪れるなら、アイインガーの隠れた味わいもぜひ試してみてください。ドイツビールにもさまざまな味わいがあることを実感できるはずです。

(住所:プラッツル 1A, ミュンヘン, ドイツ)

 

豆知識: “HOF” の語源

ドイツを遠く離れた韓国ではビールを出す居酒屋に “HOF” と書かれた看板が掲げられています。この HOF という名前、一体どこから来たのでしょう? 実はドイツのホフブロイハウスが名前の由来。ホフブロイハウスが世界で最も有名なビアホールのひとつであるため、いつからか “ホフブロイ” がビールを意味する言葉として使われるようになり、それがつまって HOF と呼ばれるようになりました。最初に HOF と名付けたのは誰なのか、いつから一般的に使われるようになったのかはわかっていません。