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途中下車の街、アンカラの魅力

$100 あれば、1 日楽しめる街

ウルス_アンカラ城

アタテュルク廟

コジャテぺジャーミィ

ウルスメイダヌ

イスタンブールからカッパドキアへのバスの荷棚は、いつも旅行者のバックパックでいっぱい。

距離にして 750 km、10 時間もかかる道のりです。冬場は路面が滑るため、半日近くかかる場合も。バスを降りて伸びをしたら、体中に疲れを感じるでしょう。カッパドキアに着いた途端、「アンカラで降りて、観光すべきだった…」と後悔しないようにしましょう。

寄り道なんてしないという決意は不要です。

アンカラは単なる “ついで” の街ではありません。古代ヒッタイト、ローマ帝国、古代ペルシア、アラブ人、十字軍、オスマン トルコといった勢力に支配されてきた歴史だけを見ても、旅行者には十分に魅力的。アンカラに関する情報が少ないために、ここで時間をつぶすのはもったいないと思ってしまいがちです。けれども、必要なのはたった 1 日。あとは $100 を握りしめて、身軽に出発するだけで楽しめます。

アンカラを 1 日で楽しむおすすめルート

アンカラを 1 日で楽しむおすすめルート

▶ $100 の使い方

クズライで朝食 : 5 トルコリラ ($1.70)

ウルスで昼食 : 20 トルコリラ ($7)

トゥナリで夕食 : 40 トルコリラ ($14)

交通費 : 40 トルコリラ ($14)

入場料 : 10 トルコリラ ($3.50)

その他 : 30 トルコリラ ($10.50)

ヒント: タクシーの初乗り運賃は 1.30 トルコリラ。1 トルコリラ = $0.34 (2015 年 10 月現在) 1 トルコリラ = 42.3 円 (2015 年 11 月 26 日現在)

大抵の場所は、5 ~ 10 トルコリラで事足ります。アメリカドルで $2 ~ 4、日本円にして 220 ~ 450 円程度です。

ヒント: 便利なトルコ語会話

▷ こんにちは : Merhaba (メルハバ)  ▷ ありがとう : Sağol (サオル)

▷ ご婦人 (女性に対する丁寧語) : Teyze (テイゼ)  ▷ お姉さん (女性に対し若さを褒める丁寧語) : Abla (アブラ)

▷ ブラザー (男性に対する丁寧語) : Abi (アビ)    ▷ おいしい、素敵 (ポジティブな表現) : Güzel (ギュゼル)

▷ 値段が高すぎます : Çok Pahalı (チョク パハル)    ▷ 安くしてくれませんか? : indirim (インディリム)

★究極の値下げ交渉術 

まずは「アブラ (お姉さん)」と呼びかけることから。店員が値段を言ったら、それがいくらであろうと「チョク パハル (ちょっと高いなあ)」と返し、「インディリム (値引きしてくれませんか)」と頼んでみます。

値下げしてくれたら、「サオル (ありがとう)」と「ギュゼル (素晴らしい)」を使ってみましょう。

 

# クズライ # 朝

クズライの朝は、アンカラ中の車が行きかいます。あまりにたくさんの人が歩いているので、鳩が休むスペースも見つからないほど。喧騒の中、道路の脇にのんびり座っている人も。それが、シミット売りです。忙しく行きかう人々が (横断歩道を除いて) 唯一足を止める場所。(シミット : ドーナツ型のトルコの揚げパン。香ばしいが甘みはなく、表面にゴマがまぶしてある) シミット売りのおじさんはぶっきらぼうながら、慣れた調子で器用にシミットを包みつつ、次の注文を受けています。シミットを積んだカートはすぐに見つかります。シミット売りの声はどこまでもついてきます。よっぽど買ってほしいのですね。シミットと一緒にコーヒーかチャイ (紅茶) を飲みたい場合は、タッタゼかシミット サライで焼き立てのシミットと一緒に楽しんでみて。

クズライの朝

クズライの朝

クズライの朝

朝食を食べていると、自分の中のよそよそしい感じがなくなっていくでしょう。チャイを飲み終わる頃には、今日 1 日を足取り軽く過ごす元気が出てきます。気持ちの良い空気を吸いながら歩いていると、あっという間にウルスに到着。ウルスは、アンカラに古くからある商業地区です。クズライは現代的なエリアですが、ウルスは古い街並みが残る地区。昔ながらの広場や、雑多でにぎやかなショッピング通りの周辺は、古い建物が並ぶ絶好の撮影ポイントです。

ウルス_アンカラ

ウルス_アンカラ

ウルス_アンカラ

ウルス_アンカラ

ヒント: アンカラのシンボル

アンカラの中心部、ウルスの丘の上にある城塞。ここから街全体を見渡せます。街にはオスマン トルコ様式の建物が数多く残っており、トルコの昔の暮らしが垣間見えるよう。城塞は、アラブ人の侵攻に備えるために築かれたもので、ローマ時代の城と似ています。アナトリア文明博物館に行く前に、アラジン モスクにも足を運んでみましょう。

ウルス_アンカラ城

# アンカラ城 [アンカラ カレシ (ヒサール)]

朝早くから店を開けてせっせと働く人たちからもらった元気も尽きかける頃、アンカラ城に到着。城の光景を見るなり、こんな黒っぽいアスファルトの端にどうやって城が建っているのか、また、他の今時の建物とのミスマッチはどうやってできたのか、と好奇心が湧いてきます。興味に駆られながらほこりっぽい道のりを歩いていると、突然、自分と同じぐらいの背丈の家々が周りにあることに気が付きます。迷宮のようなこのエリアは、まるで過去の世界に迷い込んでしまったような不思議な雰囲気。時空を抜けるようにして歩いて行って、ふと目を上げるとアンカラ城が見えてきます。古い家々の隙間から、歴史の重みを秘めた城塞がこちらを見つめているかのよう。

ほこりっぽい空気の中、視界いっぱいに建物と道路が続きます。道路は色とりどりの車でいっぱい。日本では見られない光景です。

ここまで登ってくると、空との境目に城塞があるように感じられます。ここは、眼下にアンカラの街が一望できるスポットです。風がやさしく吹いてきて、全身で心地よさを感じられるでしょう。

ウルス_アンカラ城

ウルス_アンカラ城

ウルス_アンカラ城

ウルス_アンカラ城

# アナトリア文明博物館 [アナドル メデニエットレリ ミュゼスィ]

アンカラの伝統と歴史を巡る旅は、城だけでは終わりません。次は、鉄器時代の起源とヒッタイト人の軌跡をたどってみましょう。テレビや教科書でしか見たことがないかもしれませんが、アナトリア文明博物館には、膨大な量の資料が保存されています。歴史をひもとく道のりは、ワクワクするものです。

アナトリア文明博物館

しかし、さまざまな大陸、国、場所に旅したことのある人でも、博物館の好き嫌いははっきりと分かれます。退屈な歴史の授業のように感じる人もいれば、知識を広げるよい機会だととらえる人も。それでも、文明や街の成り立ちを短時間で学ぶのに、博物館が最も効率の良い場所だということに変わりはありません。アナトリア文明博物館は小規模ながらも、博物館好きには必見の場所。見応えのある収蔵品が幅広く展示されています。

ここでは旧石器時代を初めとして、青銅器時代、ヒッタイト (鉄器時代)、フリギア王国、リディア王国に関する資料を展示。博物館の建物自体も、100 年以上前にマーケットや宿泊施設として使われていたものを利用しています。展示品の中には、名前だけ見てもピンと来ないものもあるでしょう。でも、テレビや写真でよく取り上げられるものばかりなので、実物を見てみればすぐにわかります。

アナトリア文明博物館

収蔵品

収蔵品

収蔵品

博物館を出る頃には、思いがけない印象が残っているかもしれません。

「ギュルシュルズ、カン カルデシム! (またな、ブラザー)」と恥ずかしそうに言ってくれたのは、いかつい体格の警備員。手を振ってそれに応え、ウルス広場に向かいます。たくさんの人で混み合うこの広場では、ランチを食べる人もいれば、のんびり過ごす人もいて、みんな思い思いの時を過ごしています。

地母神坐像

▶ 地母神坐像: 多産と豊穣のシンボル。

(紀元前 5750 年)

鹿と太陽を象った祭儀用の道具

▶ 鹿と太陽を象った祭儀用の道具。

(紀元前 2500 年)

戦車を描いた彫刻

▶ 鉄器時代にはラムセス 2 世を脅かしたとも言われる戦車を描いた彫刻。

(紀元前 1200 年)

ヒント:

オスマン帝国時代の典型的な建築物。マフムト パシャにより、1471 年に建設されたもの。30 年以上におよぶ修復工事を終え、以後 40 年に渡って博物館として利用されています。

展示されているのは、手工芸品、彫刻、壁画、銅像など。

右側の入口から入り、年代順に並べられた展示品を反時計回りに鑑賞していきます。

ウルスメイダヌ

# ウルス広場 [ウルス メイダヌ]

広場を見下ろすアタテュルク将軍の騎馬像。将軍も彼が従える勇ましい馬の筋肉も、日光を浴びて少し穏やかに見えます。アタテュルク像と記念写真を撮っていたら、自分が注目の的になっていた、なんてことも。気が付けば、お母さんに手をつながれた小さな子どもが、写真撮影を眺めていたりします。アンカラやイスタンブールのような大都市では、複雑で慌ただしい印象を感じますが、人々の様子をよく見てみると、ゆったりとくつろいでいるのがわかります。日本の大都市では、こうはいきません。民族の多様性、複雑な歴史、地中海に端を発する想定外の天候、黒海沿岸独特の落ち着きが相まって、人々の特徴を生み出しているのかもしれません。

午前中は視覚を総動員させたので、次は味覚の番。おいしいものを探しましょう。トルコと言えばケバブ、もいいですが、いろいろなレストランから選んでみるのもおすすめ。

たとえば、盛りだくさんの新鮮な野菜。野菜の下には、地中海の太陽のもとで育ったオリーブから作ったオリーブ油と、赤い色が鮮やかなザクロジュースがたっぷり。

恰幅のいいシェフが、忙しそうにケバブを切り落としています。これを見るためにここまで来たような気さえしてくるかも。値段にも大満足。お腹いっぱい食べても、それほど費用はかかりません。

満ち足りたところで、次は、アタテュルク廟へ。アンカラの観光名所と言えばここ。近代トルコの礎を築いた人物の霊廟です。

ケパブ

サラダ

ヒント: アタテュルク廟は、トルコ共和国の国家財産。アンカラ市街地を望む丘の上に建てられています。

建築様式はヒッタイトと古代アナトリアの融合様式。

4 つの建物から成っており、エントランス ロード、勝利の広場、アタテュルクが眠る名誉の殿堂、遺品や自筆の文章、蜜ろう、車、生前に各国から贈られた品々を収めた博物館という構成です。アタテュルクの棺は名誉の殿堂の地下に収められており、訪問者はここを参拝します。

# アタテュルク廟 [アヌトゥカビル]

どんな信仰を持っていてようと、アッラーのことを冷やかしてはいけません。冗談であっても、イスラム教の国では通じません。さらにトルコには、アッラーと同等に配慮すべき歴史上の人物がいます。トルコの全国民に崇拝されているその人物の名は、”ムスタファ ケマル”。”アタテュルク” の名でも知られています (アタテュルク : “トルコの父” の意。彼の死後、功績をたたえるためこの名が贈られました)。

アタテュルクに関する書籍やドキュメンタリーが数多くあり、建物やオフィスの目立つ場所には彫像や肖像画が設置されています。建物の規模にかかわらず、あらゆる場所でこれらは見られます。トルコの貨幣とコインの意匠は、すべてアタテュルクの顔をかたどったもの。また、重要な演説や国家イベントの際には、必ずアタテュルクの名前が使われます。このような事情を知らなくても、この壮大な霊廟を見ればアタテュルクの偉大さがひしひしと伝わってくるでしょう。

トルコ貨幣

ケマルの霊廟

アタテュルクは、ギリシャの統治を終わらせ、オスマン トルコによる侵略と破壊を打ち破った若き将校として名を上げました。後に、小さな田舎町だったアンカラを首都とし、共和国政府を設立。大統領に就任すると、女性の権利の改善、イスラム暦の廃止、トルコ文字の改革など、さまざまな重要な功績を残しました。

アタテュルク記念日には、全トルコ国民が同時刻に黙とうを捧げます。学生なら、どんな勉強嫌いでも、アタテュルクの生涯だけは詳しく知っています。どこにでも偉大な先人はいるものですが、これほどまでに慕われている歴史的な人物はそういるものではありません。日本ではムスタファ ケマルはそれほど知られていないかもしれませんが、ヨーロッパでは偉大な指導者として誰もが知る人物です。霊廟の入口を警護する警備員は、とても誇らしく感じていることでしょう。

アタテュルク廟

ケマルの霊廟

霊廟に近づくと、アタテュルクの気配が感じられるかも。広場に入ると、あまりの広さに目を奪われます。広大なスペースには、あらゆるところに大理石がちりばめられています。記念館に入ると、自然と厳粛な気持ちに。目を見張るような壮大さがそうさせるのかもしれません。厳粛な気持ちで献花をしたら、次の目的地に向かいます。

ケマルの霊廟

# 7 番通り [イエディンジ ジャッデ]

次は、7 番通りです。ちょうど授業を終えた大学生たちでいっぱいの時間。アタテュルク廟とはまるで違う雰囲気です。この通りは若者たちの人気スポット。カラフルな髪、大きなイヤリング、肩に背負ったギターケースなど、若さがあふれる通りです。風が涼しく、空がオレンジ色になってくると、急いで買い物をしたり、コーヒー ショップに入ったりする人が増えてきます。観光客にとっては、このくらいの気候が気持ちよくてちょうどよいかもしれません。

おすすめのカフェは、カフヴェ ドゥンヤス。ここでは、トルコ アイスとして有名なドンドゥルマが食べられます。言わずと知れた伸びるアイスクリームで、販売パフォーマンスも楽しみの一つ。伝統的なトルコ コーヒーもあります。とても濃いので好き嫌いが分かれるかもしれませんが、経験してみる価値はあります。変わっているのは、トルコ コーヒーを飲んだ後に残った粉が、占いに使われるということ。喉が痛むぐらいに甘さの強いお菓子も試してみましょう。バクラバやロクムといったお菓子が有名です。トルコの昔ながらの紅茶、チャイによく合います。

7番通り

7番通り

7番通り

7番通り

7番通り

# コジャテペ モスク [コジャテペ ジャーミィ]

どんな街にも、街の特徴を表すような寺院があるものです。普通はこのモスクのように、大きさにその特徴が現れます。名前からわかるように、コジャテペ モスクはその壮大な大きさが印象的 (コジャとは “立派な” という意味)。建物内部と広場を合わせて、一度に 24,000 人もの信者を収容可能な壮麗なモスクです。

コジャテぺジャーミィ

ヒント: 1986 年に建設された、アンカラ最大のモスク。モスク内部では、一度に 10,000 人が礼拝をおこなうことができます。伝統的なモスクの中に、現代的なショッピング モールを併設しており、イスラム教の懐の深さを感じさせます。

他の寺院とは異なり、このモスクには商業的な一面も。モスクの階下にはショッピング モールが入っていて、映画館やレストランなども併設。忙しく行きかう人や車を見ていると、本当にここはアンカラを代表するモスクなのかと疑問に思うかもしれませんが、ひとたびモスクの広場に足を踏み入れれば、周辺の喧騒とはまるで違う場所なのだということがわかります。明るい灰色の床を起点に、白い壁、青い丸屋根、と空までつながっているかのような色使い。

まるで、雑多な日常の中にも静かなひとときがあるということを表しているかのようです。静かな気持ちで尖塔を見つめ、しばし祈りを捧げてみてはいかがでしょうか。短いながらも静けさを堪能したら、次の目的地へ。

コジャテぺジャーミィ

# トゥナリ通り [トゥナリ ヒルミ]

コジャテペを出て周辺を散策したら、最終目的地、トゥナリ通りへ。アンカラの高級地区の入口です。このエリアには、娯楽施設、エンターテインメントやショッピングが盛りだくさん。外国人が多く集まっているので、両替店、宝飾店、時計店には事欠きません。アンカラ城の砂ぼこりにまみれたままでも、ドイツ製の高級車が走っているのを見ると、ヨーロッパの雰囲気が感じられます。ほこりまみれでも誰も気にしませんので、存分に雰囲気を味わいましょう。建ち並ぶ店はどれも魅力的ですが、特にパブの窓からビールを見たら、一杯飲みたくなってしまうかも。

パブのお客たちは、パンや肉を食べコーヒーを飲みながら、その日一日という名の旅を終えようとしています。人々は食べ、飲み、合間に歌を歌って上機嫌。一生懸命働く人たちには、誰だってこんな時間が必要です。ここまで旅を続けた旅行者は、羽毛のベッドを心待ちにして宿泊先に向かいましょう。

トゥナリ通り

トゥナリ通り

トゥナリ通り