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香港 – 第二の物語

数え切れない顔を持つ都市

芸術と文化から見た香港の魅力

旅をしていると次第にその国の印象や個性とでもいうべきものに詳しくなっていきます。香港ではどうでしょうか。香港といってまず思い浮かぶのは、ショッピングと夜景。ところが、たったこの 2 つでさえ、香港には魅力が多すぎて全部を語りつくすことなどできません。

かつて、香港の映画業界が世界を席巻した時代。あまりにも影響が大きかったため、”香港映画シンドローム” なる言葉まで生まれ、その頃の記憶を決して忘れることはできません。そんな黄金時代が過ぎ去った後も、香港の芸術と文化は姿を変え形を変え、さまざまな魅力を振りまきながら今なお私たちを虜にしています。ここでは、ニューヨーク、ロンドンについで 3 番目のアート マーケットとして急浮上している香港の新しい一面を見ていきましょう。

中国銀行タワー

香港の多彩な魅力に触れられるルート

芸術と文化は知りたいと思えば思うほど、興味が増します。香港の街も然り。香港を訪れるたびに新しいもの、違うものに出会って驚かされるばかりです。香港には、世界のファッションやテクノロジー、ヨーロッパやアジアの文化も集中しています。

香港では、昔からずっと変わらない路地を歩いている途中で、いきなり摩天楼に遭遇しても変だとは感じません。この街の芸術と文化はどのようになっているのでしょうか。

香港の多彩な魅力に触れられるルート

1 西港城

2 荷李活道

3 中環至半山自動扶梯

4 中国農業銀行大厦

5 畢打行

6 芸穂会

7 香港上海銀行

8 中銀大厦

9 ページ ワン

10 時計塔

11 香港文化中心

12 香港芸術館

13 星光大道

アーロンカレーアート

西港城

香港の街はネオン サインと看板でいっぱいです。そんな香港にある西港城は、珍しい赤れんが造りの建物。トラムが近くを走り、ヨーロッパの小さな村にいるような錯覚に陥るかも。このマーケットは 1960 年代に建てられた香港で最も古い建物。昔は食料品が売られていましたが、現在は文化財に指定され、博物館と小さな店が入っています。香港のエキゾチックな雰囲気を味わいたいなら、まずはココ。

西港城

荷李活道

古い香港の趣を今も残している上環から、世界有数の金融街の中環までつながっているストリート。荷李活道の南側がソーホー エリア、北側がノーホー エリアです。

荷李活道のハリ ウッド ロード看板

ヒイラギ (holly) の森に囲まれていたことから 19 世紀初頭に “Holly Wood Road (c)” と呼ばれていました。現在の英語名ハリウッド ロードはそこからきています。アメリカのハリウッドとは雰囲気が違いますが、香港の文化の中心です。

100 年前、香港一番の商業地域は、中環ではなく上環でした。荷李活道に代表される港や、マーケット、骨董街はその当時に建設されました。骨董の家具、陶磁器、東洋の絵画がたくさん売られています。

ストリートは、香港の道教寺院としては最古の文武廟と、摩羅上街に通じています。摩羅上街は別名、キャット ストリート。香港スタイルのフリー マーケットで有名です。キャット ストリートの名前の由来はネズミ。中国では泥棒のことをネズミに例え、ここで盗品を扱う商人をネコに例えたのが始まりとされています。

キャット ストリート

ヒント : 香港で行われる芸術イベントと文化イベント

1.HKAF (香港芸術祭)

1973 年から開催されている香港最大の芸術と文化のイベント。これといった文化がなかった香港を文化の中心に変えた大イベントです。世界中の音楽や演劇などの公演が行われます。芸術作品の展示も楽しめます。

2.香港のアート バーゼル

スイスのバーゼルで毎年開催されているアート フェアが 2013 年から香港でも開催されるようになりました。4 日間のイベントは、3 月に開催されます。

荷李活道といえば骨董街を思い浮かべますが、実際はストリートの一部分にすぎません。骨董街には懐かしい雰囲気が漂いますが、中環に通じるストリートにはまた別のテイストがありますストリートのあちらこちらにある小さなギャラリーがモダンな雰囲気を漂わせています。

香港は商業都市として有名ですが、最近は、アジアにとって、また世界的にもモダン アートの中心地として急浮上しています。新興アートの展示会が計画されており、モダン アートと文化を体感できる素敵なチャンスが訪れそうです。

香港芸術祭とアートバーゼル

中環至半山自動扶梯

屋外エスカレーターとしては世界最長の 800 メートル。”ヒルサイド エスカレーター” と呼ぶ人もいますが、”ミッドレベル エスカレーター” の方が一般的です。ミッドレベル(半山) の住民のために建設されましたが、映画 “恋する惑星” 以降はロマンスのシンボルとして定着。

ミッドレベル エスカレーター

800 メートルもの長さのエスカレーターに乗り続けるなんてと思う方もいるかもしれませんが、心配ご無用。12 のセクションに分かれていて自由に降りられます。ところどころ途切れながら、中環からソーホーを経由して半山の住宅街までつながっています。

朝 10 時までは出勤する住民のために下り運転、10 時半から上りになります。エスカレーターで一番上まで上ったら、ストリートの雰囲気を味わいながら、ゆっくり歩いて下りてくるとよいでしょう。

通勤、通学に使われる市民の足が、映画の中ではソーホーの象徴的な存在として描かれています。実用性を兼ね備えた観光名所なんて珍しいですね。

中国農業銀行大厦

“50 コンノート ロード セントラル” または銀行がビルに入っていることから “中国農業銀行大厦” と呼ばれています。あまり知られていないので行き交う人もあまり気にしていませんが、香港のアートについて詳しく知りたいならぜひ押さえておきたいビル。世界有数のギャラリーが入っています。

中国農業銀行大厦

イギリスに本拠を置くホワイト キューブが、ダミアン ハーストやトレーシー エミンなど著名なアーティストの作品展を開催して名声を得ました。ホワイト キューブは、香港に支社を設けてアジアのマーケットへの足掛かりをつかみました。世界的に有名なホワイト キューブ ギャラリーが進出したことにより、世界有数のアート シティ香港の立場はゆるぎないものとなりました。

フランスに本拠を置くギャラリー、ペロタンには、国際的なスター アーティストの作品が展示されており、型にはまらない世界観を楽しめます。”世界で最も影響力のあるギャラリー 50″ に選ばれたこのギャラリーは、ビルの 17 階にあります。

高層階にあるギャラリー ペロタンからは港全体を見渡すことができます。作品のすべてを 1 日で見ることは難しいかも。

畢打行

香港の中心、中環に林立するビル群の中でなぜか目を引くビル。ネオクラシックなビルの畢打行は、いわゆる香港スタイルとは異なった佇まい。ほぼすべての階にアート ギャラリーが入っていることから “ギャラリー ビル” と呼ばれています。中国農業銀行大厦と畢打行の両方の展示作品を見れば、モダン アートの達人になれます。

古めかしい外観に誘われるように正面の大きなゲートから真っ直ぐ進むと、ショップに入ってしまうのでちょっとビックリ。ギャラリーに行くためのエレベーターは小さなドアの向こうにあります。

畢打行の外見

イギリスのベン ブラウン ファイン アートとサイモン リー ギャラリーが 3 階、香港の漢雅軒が 4 階です。国際的に活動するアーティストの作品をアジアに紹介しているベン ブラウンは、最高級のギャラリーとして称賛され、いくつかの作品はサザビーズの美術オークションにもかけられるほど。特に、イタリア美術を多く展示しており、数多くのイタリア アーティストを送り出しています。

サイモン リー ギャラリー

漢雅軒では、中国と台湾のほか、香港の画家が生み出した作品を展示。中国のアートを紹介するパイオニアとして 1983 年に設立されたギャラリーです。

漢雅軒

アメリカのレーマン モーピンも香港のモダン アートの一翼を担っています。スイスのレイチェル レーマンとニューヨークのデービッド モーピンにより設立されたギャラリーで、展示作品数が非常に多く、世界のトップ 10 ギャラリーに数えられています。

漢雅軒

6 階にある香港のパール ラム ギャラリーは、オリエンタル アートが中心。美術界で影響力のあるギャラリーの 1 つです。香港のメイン ギャラリーのほか、上海とシンガポールでも事業を展開し、アジアで確固たる地位を築いています。

パール ラム ギャラリー

7 階には、アメリカに本拠を置くガゴシアン ギャラリーがあります。世界的に有名な美術商ラリー ガゴシアンが運営。最大の影響力を持つギャラリーとされています。ガゴシアンは、ニューヨーク、ロンドンなど世界中の都市に 16 を超えるギャラリーを開いた後、アジアで初めて香港に進出しました。自分の作品に誇りを持って活動しているアーティストを紹介し、美術界のトレンドを牽引しています。ここで個展を開いたアーティストのブランド価値が急上昇することから、”ガゴシアン マジック” という言葉が生まれました。

ガゴシアン ギャラリー

芸穂会

皇后大道から雲咸街を歩いていくと、丘の境界付近に縞模様の低層のビルが見えてきます。現在のように冷蔵庫が一般的ではなかった当時、冷蔵倉庫として使われていました。規模は小さいですが、パフォーマンス アートのスペースとして使われ、香港ローカルのアーティストと文化資産を伝えるのに役立っています。

フリンジクラブ

フリンジクラブの看板

ヒント : 都爹利街の石段とガス灯

中環の都爹利街の突き当たりに、趣のある石段があり、古き香港を感じられる穴場となっています。香港ではもうここにしか残っていないガス灯が 4 つ、階段のたもとにあります。ガス灯には今も灯がともされ、香港の古き記憶を残しています。日が暮れると、より一層古めかしい雰囲気です。石段の中ほどに 1960 年代の香港式の喫茶店を再現したレトロなスターバックスがあり、ロマンチックなムードが漂います。

数え切れないほどの高層ビルが立ち並ぶ中環は、なんと言ってもその美しい夜景で知られています。未来的な高層ビルと空のコラボレーションは、実際に生で見ないと、その感動を味わえません。

香港政府は積極的に世界的に有名な建築家を招き、あまりにもありふれた設計の建築は認可しない方針です。ビルの谷間から空を見上げれば、中環に広がる超高層ビルの圧倒的な存在感が迫ってきます。

香港セントラル

ヒント : 建築ウォーク

尖沙咀の天星碼頭にある九龍ビジター センターでは、香港政府観光局主催の建築ウォークに申し込めます。ツアーが開催されるのは毎週土曜日。香港建築師学会の会員である建築士がガイドします。ツアーは最大 15 名までで、ツアー ルートはガイドにより異なります。

香港セントラル夜景

“アジア金融市場の中核” と呼ばれる中環。たくさんのビルがここのランドマークになるべく、しのぎを削っています。双璧をなすのが、HSBC (香港上海銀行) の本店と中銀大廈。この 2 つのビルは外見に特徴があり、他のビルとは明らかに違うオーラを放っています。

その他にも、香港で最も高い ICC (環球貿易広場)、2 番目に背が高い国際金融中心 第二期、コアラのような形が特徴的なツイン タワーの力寶中心など、さまざまな形や高さの超高層ビルが林立しています。

香港上海銀行

中国銀行タワー

HSBC : 香港上海銀行

世界的に著名な建築家ノーマン フォスターが設計したビル。ユニークな形と建築家自身の名声により、瞬く間に観光名所として人気になりました。トランスフォーマーの映画を思い起こさせる非常に未来的な外見が特徴。技術的な面としては、海水を利用した空調システムなど、環境にやさしい方式が自慢です。ロビーは通りに向かって広場として使えるように設計され、自然光を取り込めるように吹き抜けになっています。イギリスで製造されたモジュールを香港で組み立てる方式で、1985 年に 47 階建てのビルとして建てられました。

香港上海銀行

HSBC のスターは、グランド フロア広場の石のライオン像。ステファンとスティットと名付けられたライオンは、香港の紙幣にも描かれています。側面には、第二次世界大戦中の弾痕の後が今もはっきり残っています。二対のライオンは一見そっくりですが、口の形に違いがあります。口を開けている方がステファン。後から作られたスティットの口は閉じており、大金をつかんでいることを意味しています。

中銀大廈

ノーマン フォスターに負けず劣らず有名な建築家イオ ミン ペイが設計。中国銀行の創立者が他ならぬイオ ミン ペイの父親であるのは興味深い事実です。タワーは見る角度によって姿を変えます。ぐんぐん伸びる竹に見えるようにと設計されましたが、剣の形をしていると考える人が多いようです。

国銀行タワー

さらに、風水の学者によれば、剣の刃が HSBC の方角を指しており、HSBC の気が抑えられているそうです。香港の文化は総じて風水を基にしており、HSBC ではこの剣に対抗すべく、屋上に大砲の形をしたゴンドラを増設したといわれています。タワーの X の装飾が夜になると明るく輝き、中環の夜景の中でひときわ目立ちます。

ヒント : 香港公園

数え切れないほどの超高層ビルがそびえ立つ香港。高層化の勢いがとどまるところを知らない香港には、大小さまざまな公園が点在し、憩いの場として親しまれています。

中環の香港公園は、中国銀行、HSBC、力寶中心など、香港を代表する超高層ビルの真ん中にあり、まさに “都会のオアシス”。

公園内に婚姻届を提出する事務所があるので、新婚カップルが写真を撮っているところを見かけるかも。公園周辺の超高層ビルの夜景を違った角度から見たければ、植物園の正面のテラスがおすすめです。

香港公園

ページ ワン

芸術やデザイン系の品揃えが豊富な書店。建築やデザインに関心がある人々のお気に入りの場所です。いつも大勢の人で賑わっている海港城ショッピング センターの中にあるとは思えないほど静か。同じスペースに広々としたデザイン ショップもあります。最近リニューアル オープンしたショップは、クリーンでモダンなインテリアを見るだけでも楽しそう。

ページ ワン

ページ ワン

ページ ワン

時計塔

九龍駅と同時に建設された塔。九龍駅では大陸横断鉄道が発着しており、香港を経由して中国、ロシア、モンゴルをつなげていました。新しい鉄道駅が紅磡地区に建設されたのに伴って九龍駅は取り壊され、この時計塔のみが残されました。尖沙咀のこの観光名所は歴史的記念物に指定され、蒸気の時代の香港の象徴的な存在。夜になるとライトがともされ、とてもロマンチック。タイム マシンで過去にタイム スリップしたかのようです。

時計塔

 

香港文化中心

香港の香港文化中心に訪れた人はまず、時計塔を囲むように立つ建物の形にビックリします。香港芸術館とは異なり、香港文化中心は絶好のビュー ポイントに立つにもかかわらず、窓が 1 つもありません。そのため、設計段階から賛否両論の意見が飛び交いました。

香港文化中心

香港の真ん中で毎日午後 8 時から繰り広げられるレーザー ショー “シンフォニー オブ ライツ” を観るなら、ここの展望台が定番スポット。穴場は、建物正面の階段と広場です。

香港文化中心

香港文化中心

香港芸術館

中国の伝統的な美術や、香港の現代美術、絵画、書画、古代の文物など、約 15,000 の作品を所蔵する美術館。常設展ホールのほか、グランドフロアから 3 階まで 7 つの展示ホールがあり、随時、企画展が開催されます。興味があるものだけ観たり、無料の展示ホールだけ観たりするのも楽しそう。

1 階から 3 階の窓際に置かれたイスは、維多利亞港と香港島を一度に見下ろせる穴場です。

ヒント : 美術館の日がおすすめ。毎週水曜日は、香港の主な美術館やアート ギャラリーが無料。水曜日に美術館巡りできるようにスケジュールを立てれば、香港のアートをより気軽に楽しむことができます。

香港芸術館の外見

星光大道

ロサンゼルスのウォーク オブ フェイムを模して造られた遊歩道。香港の映画産業へのオマージュが込められています。道に沿って香港の有名映画スターの手形を見ることができ、映画に関する彫刻や建物もあります。

星光大道

特別なイベントが開かれるわけではありませんが、香港映画の伝説的な名場面がフラッシュ バックすることでしょう。

旅の終わりは、にぎやかな香港のダウンタウンを離れて、香港島の夜景を楽しむのがおすすめです。

フラッシュ バック

フラッシュ バック

香港の夜景