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三国時代の舞台、パンダの都。四川の歴史と見どころいっぱい、魅惑の成都

三国時代の舞台、パンダの都

四川の歴史と見どころいっぱい、魅惑の成都

中国西南部に位置する四川省。自然の恵みと豊かな景観を持つことから、中国国内では長い間 “豊穣の地 (天府之國)” と呼ばれていました。今では料理でよく知られているかもしれません。四川料理は今や日本の中華料理店でもおなじみのメニューになっています。けれどもそれは、四川のたくさんの魅力のうちのほんの一部。

料理の他にも、四川には長い歴史に裏打ちされた魅力がいっぱい詰まっています。四川省の省都は、成都。三国時代の舞台となった歴史の要所です。成都は、かつて蜀および蜀漢の首都でした。その後も開拓が続けられ、隋と唐の時代には、長安、揚州、敦煌と並ぶ 4 大都市の一つとして発展しました。これらの都市の名前を全部覚える必要はありません。でも、世界中のパンダの半数以上が四川にいる、という豆知識は覚えて損はありません。

豊穣の土地、四川省と成都の魅力に迫ります。

楽山大仏

楽山大仏

2 泊 3 日おすすめルート : 奥深い魅力に迫る旅

四川料理の王道、火鍋と麻婆豆腐を楽しむことからスタート。その後は豊かな歴史と街の文化を堪能しましょう。成都と言えばなんといっても、みんなが大好きなパンダ。でも、それだけではありません。世界最大の大仏を見たら、あまりの大きさに言葉を失ってしまうかも。観光スポットもおいしい料理も。四川の魅力を巡ります。

2 泊 3 日おすすめルート

2 泊 3 日おすすめルート

四川ペッパー

四川ペッパー

パンダ

パンダ

演劇

演劇

1 日目

天国の火鍋 (天辰元火锅) 四川の旅はここから

成都の空港や鉄道駅は、中国の他の場所と同じで、いつもにぎやか。中国でよく聞く言葉は、”人太多”。読んで字のごとく “人が多すぎる” という意味です。

空港からホテルに着く頃には、移動で疲れてしまっているかも。元気を復活させるには、熱々の火鍋がぴったり。四川の名物料理です。辛くてスパイシーなものがお好きなら、まさにおすすめの一品。

火鍋は、テーブル上の鍋でスープを煮立て、その中で薄く切った具材を煮込んで食べるもの。中国式のしゃぶしゃぶとも言われます。具材となるものはさまざまで、四川の人々は「飛行機やイス以外なら何でも具材になる」とさえ言います。スープのベースは、鶏と牛の骨でとっただし。四川の火鍋は、唐辛子や花椒で辛みを付けるのがポイントです。あまりの辛さに舌が麻痺してしまうかも。火鍋にはいろいろなタイプがありますが、おすすめは 2 種類のスープを別々に入れて煮立てる二色鍋。辛みのある赤いスープと、まろやかな白いスープを使います。これなら、普通のスープも辛いスープも同時に楽しめます。

天国の火鍋

天国の火鍋

天国の火鍋の材料

天国の火鍋

中国の人々は、食を人生で一番大事なものだと考えています。ということは、中国を旅行する上で食事は大事なポイント。火鍋は中国のどこでも食べられますが、四川火鍋独特の辛さはクセになってしまうかもしれません。四川の火鍋は辛みがあるので、火鍋店の多くはソフト ドリンクやジュースを無料で提供しています。これを食べずして四川を語るな、とさえ言われる四川の火鍋。火鍋を食べて体力を充電したら、これで四川の旅が続けられます。

錦里古街

錦里古街

錦里古街 : 文化の香りもロマンスも

火鍋の辛さを体験したら、次の目的地、錦里古街へ。ここは、蜀時代の街並みがそのまま現れたようなエリア。赤い提灯がいたるところに吊るされているその光景は、中国映画のロマンティックなワン シーンを見ているかのようです。また、”カンフー パンダ 2″ で主人公が飛び回っていた市場をご存知でしょうか。あのシーンの背景は、この錦里古街を基にして描かれたものです。このエリアにはみやげ物屋が数多くあるので、手工芸品や小さな人形など、中国らしいおみやげを見て回ることができます。

屋外のカフェでお茶を飲めば、ほっと一息つくことができるでしょう。日が暮れてからは、バーで生演奏を楽しみましょう。異国情緒あふれる雰囲気に浸ることができます。焼き鳥や餃子などの、ストリート フードも要チェック。

錦里古街の手工芸品

錦里古街の手工芸品

錦里古街の食べ物

錦里古街の食べ物

錦里古街の夜

錦里古街の夜

錦里古街は、中国の若者のデート スポットとしても大人気。最近の中国はとても進歩的なので、カップルが公衆の面前でキスしていても驚かないで。

ゆったりとした音楽が流れとリラックスできる錦里古街は、伝統的でロマンティックな中国を感じられるエリアです。赤い光に誘われて通りを歩いていると、周りはいつの間にかカップルでいっぱいになっていることでしょう。

錦里古街のバー

錦里古街のバー

2 日目

成都ジャイアント パンダ繁殖研究基地 (成都大熊猫繁育研究基地) :

パンダは中国の国宝

パンダは、中国では最優先で大事にされる動物です。パンダを殺した者は死刑という法律もありました。パンダは繁殖力が非常に低く、出産する子どもの数もほんの数頭。そのため中国では、繁殖の研究が熱心に行われています。パンダを見に世界中から多くの人が中国にやってきますが、それもそのはず、世界中でパンダを繁殖しているのは中国だけなのです。国内には、パンダの生態に合わせた保護区がいくつかありますが、中でも成都の保護区は中国最大。必見のスポットです。

成都ジャイアント パンダ繁殖研究基地

成都ジャイアント パンダ繁殖研究基地

パンダは暑さが苦手なため、気温が上がる午後には外に出てきません。また、朝のエサを食べた後は眠ってしまいます。そのため、早めに行って、朝ごはんを食べる様子を見るのがおすすめです。8:30 から 10:00 の間はたいてい気温が低いので、1 時間半程度の間にパンダが朝食を食べるところを見ることができます。

成都ジャイアント パンダ繁殖研究基地

成都ジャイアント パンダ繁殖研究基地

丸々としたパンダを見ていると、日がな一日のんびり竹をかじっている暮らしがうらやましく見えてくるかも。国を挙げて大事にされ、保護を受けているパンダたちは、その特権を存分に楽しんでいるかのように見えます。敷地内には、パンダと記念写真が撮れるコーナーも。

成都ジャイアント パンダ繁殖研究基地

成都ジャイアント パンダ繁殖研究基地

写真はその場でプリントしてもらえます。料金は 2,000 元。高額にも思えますが、支払った代金の一部はパンダの研究や保護費として還元されています。他では買えないパンダ グッズもいろいろ。パンダ好きなら、成都のパンダ基地は外せないスポットです。

陳麻婆豆腐 (陈麻婆豆腐) :

さらなる四川料理にチャレンジ

中国には、辛さの特徴が地域別に 5 つに分かれています。四川の辛さは舌がしびれるようで、貴州では甘みと酸味のある辛さ、雲南では香り高い辛さ、陝西の辛さには甘みと香辛料が効いており、湖南では酸っぱい辛さがその特徴。四川の味は “麻辣” と表され、唐辛子と山椒を使った非常に辛いものです。”辛さに強い” というのが、四川人の自慢でもあります。どれだけ辛いか試したいなら、麻婆豆腐や担々麺を食べてみましょう。

陳麻婆豆腐

陳麻婆豆腐

陳麻婆豆腐

陳麻婆豆腐

麻婆豆腐の起源は清王朝にまでさかのぼります。成都の郊外にあった陳興盛飯舖 (現在の陳麻婆豆腐店) という店が作ったメニューが、麻婆豆腐の始まりでした。麻婆という名前は、最初にこの料理を作った女性に由来します。陳麻婆とは “あばたのある陳のおかみさん” という意味で、陳さんの顔にあばたがあったことからそう呼ばれていました。陳麻婆豆腐は、舌がしびれるような辛さがその特徴。この店で、日本のものとは一味違う麻婆豆腐を食べてみてください。

江戸時代の日本では、街でそば屋がそばを売り歩いていました。落語などでは、独特の抑揚をつけて、「そばぅーあーうー」という売り声で通りを歩く姿が表されています。同じように、昔の成都にも通りで麺を売り歩く商人がいたと言います。江戸のそば売りと同じように、成都でも肩に棒を “担いで” 売り歩いていたそうです。そのため “担々麺” と呼ばれるようになりました。時代が変わっても担々麺は消えず、今ではすっかり人気のメニューになりました。四川ではどこででも食べられますので、店ごとの違いを楽しむこともできます。

担々麺

担々麺

四川料理は奥深いので、すべてを食べつくすことはできませんが、火鍋、麻婆豆腐、担々麺という代表料理を食べれば、四川料理のほんの一端を垣間見ることができます。安価なビールと一緒に四川料理を食べながら、大声で自由に話していても、とがめられることはありません。むしろ、これこそが中国旅行の醍醐味です。

成都人民公園 (成都人民公园) : 中国の本当の姿がここに

中国らしい雰囲気を楽しみたいなら、この公園。中国には多くの人民公園がありますが、成都も例外ではありません。その中でも、1911 年に造成されたこの公園は、市の中心地にある成都最大の公園です。ここで人々の様子を見ているのは、とても興味深いものです。最もよく見られるのが、祖父母に連れられてくる子どもたち。中国の女性は、出産後すぐに仕事に復帰することが普通なので、祖父母が子どもの面倒を見ることが多いのです。そのため、公園にも一緒にやってきます。

成都人民公園

成都人民公園

公園には、朝早くから体操をしている人たち、バドミントンをしている人たち、太極拳の練習をしている人たちの他、池でボートを漕いでいる人たちもいます。昼間は公園で麻雀を楽しんだり、仕事を終えると一緒に歌を歌ったり。

成都人民公園で演奏しているバンド

成都人民公園で演奏しているバンド

成都人民公園で踊っている人々

成都人民公園で踊っている人々

成都人民公園の変わった催し物

成都人民公園の変わった催し物

成都人民公園の変わった催し物

成都人民公園の変わった催し物

成都人民公園で運動している人々

成都人民公園で運動している人々

運が良ければ、変わった催し物に参加できるかもしれません。この公園が他の公園と違うのは、ときどき面白いことをやっているところ。いつもというわけではありませんが、面白いファッション ショーが行われていることがあります。プロの手は借りず、自分たちだけで会場を設置してショーを行っているのです。このショーでは、一般の人たちが自前の服でランウェイを歩き、ポーズを決めます。人が集まるまで、こんな楽しいショーが始まっていることに気づかないかもしれません。公園内には、軽食とお茶が楽しめるカフェも。”中国で最も中国らしい場所” を見てみたいなら、公園のカフェに座って人間観察をするのがおすすめです。

寛窄巷子 (宽窄巷子):

過去と現在が交錯する場所

清朝時代に築かれた寛窄巷子。昔の面影を今に伝え、古い街並みで人気のあるスポットです。寛窄巷子は、寛巷子、窄巷子、井巷子という 3 つの巷子 (横丁) から成るエリア。

寛窄巷子の看板

寛窄巷子

かつて成都の文人や武術家、官僚などが住んでいたこのエリアに行くには、身分の高い者だけが寛巷子の通行を許され、庶民は窄巷子しか通れませんでした。寛窄巷子は、大慈寺、文殊院と併せ、成都の 3 大歴史文化保護地区。

この通りは、多くの映画のロケ地としても使われています。3 つの巷子は、それぞれ独特の雰囲気。車両の通行は禁止されているので、どの道も自由に見て回りましょう。

寛窄巷子

寛窄巷子

寛窄巷子

寛窄巷子

このエリアは、濃厚な歴史の香りが残る場所。竹の葉を揺らすそよ風の音や、日なたでのんびりと飲むお茶は、寛窄巷子だからこそ作れる特別な思い出となるでしょう。夜にはもっと魅力的なエリアに。素敵なレストランやパブはもちろん、四川名物の四川歌劇も外せません。四川歌劇の目玉は、一瞬で仮面を変えるパフォーマンス。中国には地方ごとに数多くの歌劇がありますが、四川歌劇は北京の歌劇に匹敵する素晴らしさだと言われています。ショーが行われるレストランはいたるところにあり、スケジュールは表に表示されているので、

気軽に観劇できます。テレビで観るより断然すばらしい体験になるでしょう。

寛窄巷子は、昔ながらの懐かしい雰囲気と、現代のおしゃれな雰囲気を併せ持つエリア。北京の胡同と似ています。北京に行くことがあったら、比べてみてもいいかもしれません。

寛窄巷子の演劇

寛窄巷子の演劇

東方仏都 (東方佛都) :

素朴な信仰と自然の共演

東方仏都と楽山大仏に行くには、成都の新南門駅からバスで楽山ターミナルへ。バスは 30 分おきにでていますが、同じ場所を目指す多くの人が乗り込むので、乗り合いタクシーもおすすめです。乗り合いタクシーなら、目的地まで直行です。難点は、乗客数が埋まらないと出発しないことと、安全面でやや劣るということ。バスを利用する場合は楽山で下車し、13 番のバスに乗り換えてください。東方仏都までは、ここからさらに 30 分の道のりです。楽山大仏と東方仏都は、どちらも楽山で見られます。どちらを先に見るかは気分次第。

東方仏都には、国内外の有名な仏像の複製が集められており、多くの観光客が訪れるスポットになっています。橋に近づくと最初に目に入るのは、巨大な臥仏 (巨型臥佛)。寝姿の大仏です。全長 170 m を超える巨大な臥仏を見ていると、空が仏様の部屋の天井で、地面がベッドのように見えてきます。この巨大な臥像を通っていったところが、東方仏都。雲崗の石仏 (云岡大佛) など、さまざまな仏像が収められています。これだけの壮大な建造物を目の当りにしたら、仏教徒の信仰心に感銘を受けずにはいられないことでしょう。

東方仏都

東方仏都

東方仏都

東方仏都

東方仏都

東方仏都

東方仏都

東方仏都

東方仏都

東方仏都

東方仏都

東方仏都

東方仏都

東方仏都

楽山大仏 (乐山大佛) :

圧巻の大仏

楽山大仏は、世界最大の仏像。1994 年にはユネスコの世界遺産にも登録されました。楽山大仏は、岷江、大渡河、青衣江という川が合流する地点にあります。そのためこの地では、水運事故が絶えませんでした。そして、水運安全を仏に祈願しようと、僧侶の海通が石像を彫り始めました。海通が亡くなった後も建造は続けられ、90 年以上の歳月をかけて完成したのです。完成当時、大仏の表面には鮮やかな色が塗られ、大仏を保護するための木造のシェルターが建てられました。しかし、明の時代にシェルターは焼き払われてしまっています。香港映画 “風雲ストーム ライダーズ” には、2 人の主人公がある山を舞台に戦うシーンがありますが、そのロケ地となったのが、楽山大仏。

楽山大仏の全容を見るには、”九曲桟道 (九曲棧道)” と呼ばれる険しい石段を下っていかなければなりません。石段の幅は非常に狭くなっています。”桟道” とは、岩に穴をあけて取り付けた道という意味です。

楽山大仏

楽山大仏

楽山大仏

楽山大仏

石段を下って行くと、大仏の頭、耳、と徐々に姿が見えてきます。あまりの大きさに、畏怖の念さえ湧いてきそう。頭部の大きさは、高さ 71 m で幅は 10 m。肩の幅は 28 m 以上。世界有数の大きさを誇る彫像です。試しに人間の大きさと比較してみましょう。大仏の耳はちょうど 3 人が入れる大きさで、幅 8.5 m の足の甲には 100 人以上も乗ることができるほど。大仏の巻貝型の髪の毛一つ一つが巨大ですが、それが 1,000 個もあるとなれば、どれだけ大きいかわかるでしょう。「山は仏、仏は山」という言葉がその大きさを象徴しています。死ぬまでに一度は行きたい場所と言われるこの大仏を見れば、中国の人たちの信仰心の篤さを感じるかもしれません。しかし一方で、お坊さんが線香で寄付を募っていて、「線香に出すお金が高いほど、良いことがありますよ」などと言っています。このような面も見つつ、この国のありのままの姿を楽しみましょう。

遊覧船に乗って川からこのエリアを見ると、全体が寝仏のように見えます。全長 4.4 km にわたる、この巨大な寝仏は Nung、オウ、グゥ という 3 つの山が連なって形作られています。楽山大仏は、まさにこの寝仏の心臓部分にあるのです。これは、どんな人の心にも仏がいるということを表しています。仏に対する強い思いが、この自然との共同作業を可能にしたとも言えます。

遊覧船

遊覧船

四川省の成都は、中国の人々の行きたい場所、住みたい場所として有数の人気を誇る場所。都市化され過ぎたために古き良き文化を失ってしまった上海や北京とは違い、成都には貴重な場所や伝統が残されています。気候が穏やかで物価も高くないので、成都に住みたくなるのも当然のこと。

もう、成都の他の場所にも行ってみたいと考えているかもしれませんね。もちろん、成都には他にもすばらしいスポットがいっぱい。機会があれば、四川大学、四川で最も有名な武侯祠、文殊院、天府広場にも行ってみて。成都のすばらしさを思う存分堪能しましょう。